今回初めて、中学1年生の二人(右・タイジュ、左・カズ)が、ブラジル遠征に挑戦しました。
二人は小学生の時、昨年の日本でのサッカーキャンプに参加しました。そして夏休みのブラジル遠征に参加しています。
その時の経験を大切に、日々トレーニングを頑張っています。
そして、それぞれ、関東の県1部リーグに所属するジュニアユースのクラブチームでプレーしています。
ブラジル人は日本人に比べて、1~3歳は、身体の成長が早いように思います。
特に、高校生くらいまでは、その傾向が強いようです。
せっかく日本からブラジルに留学に行っても、何歳か年下のカテゴリーで、だらだらと時間を過ごすことすら、珍しいことではないようです。
今回、参加したタイジュ、カズの二人は、なんと!クルゼイロの下部組織への練習参加を許されました。
クルゼイロの下部組織は、タレント大国ブラジルでもトップクラス。
何人もの年代別のブラジル代表が所属しています。
2017年現在では、U20には6人、U17には3人、U15にも4名の現代表、代表歴を持つ選手がクルゼイロの下部組織に所属しています。
その下部組織への練習参加です。しかも、同じ年代のU13に加えて、U14にも!
日本を発つ時は、余裕の表情を浮かべていた二人。
一度、経験しているので、ドバイ経由での長旅も楽しんでいる様子。
サンパウロ空港からさらに乗り換えて、ようやくベロオリゾンチに到着です。
ブラジルについて、まずは、いつものように軽く体を慣らしていきます。
時差、長旅の疲れを抜くためには、ついてすぐに全力のプレーをしては、体が壊れてしまいます。
今回、下部組織でのプレーが待っているので、フィジカルテストをして、どの程度のトレーニングに耐えうるかどうかを、チェックしてもらいました。
翌日から、いよいよトレーニングがスタート。
1日2回のトレーニングを繰り返しました。
結果、4カテゴリーでのトレーニングになりました。
同行したヒロコーチが通訳に入ってくれます。
ヒロコーチは毎年toca1に通い、クルゼイロの指導を深く理解しているので、とても頼りになります。
そして、ブラジル留学経験もあるヒロコーチが、繰り返し彼ら二人に伝えたことがあります。
「成功しても失敗しても積極的にプレーすること。自分自身を一番下手な選手だと思ってとにかくぶつかって行くように。一緒にトレーニングする仲間に話しかけられるのを待つのではなく自分から話しかけること。日本人で一緒にいるのは禁止。ビビったり、空気なんか読んでいてはダメだよ。」
ところが、最初の1週間は、弱気な姿ばかりが目立ちました。
自分たちの通用する部分もあるはずなのですが、無難なプレーを繰り返す二人。
自分から選手に話しかけることもなく、コミュニケーションも自分から取ることは出来ません。
トレーニングで二人組で!というものがあった時には最後までペアを見つけられない姿すらありました。
毎晩、ヒロコーチとタイジュ・カズとのマンツーマンのミーティングが重ねられます。
出来たこと、出来なかったこと。今までやれなかったこと、明日やろうとすること。
繰り返し話し、激励されることで、二人とも少しずつ良いプレーを出せるようになってきました。
そして、U-13のトレーニングには、徐々に慣れて来ました。
トレーニング内容も、そこまで複雑なものではありません。
頑張れば通用することにも気づいた二人は、思い切ったプレーも少しずつ増えました。
そして、ここでは試合も組んでもらいました。
二人とも希望のポジション(中盤とサイドバック)で出場です。
試合は楽しむ余裕もなく、あっという間に終わってしまいました。
意外と試合の方がいいプレーをしていたように見えました。
苦戦していたのは、一つ年上である、U-14のトレーニング。
体が大きく、分厚い選手。技術も高く、強度も高い。
知らない人が見ると、高校生のトレーニングに中学1年生が混じっていると勘違いするかもしれません。
彼ら二人が慣れてきたのは、最後の数日でしょうか。
なりふり構わず、ぶつかって行く姿勢。
空気を読まずに目の前の相手と勝負する。
良い仕掛けでゴールを奪ったり、相手に激しく寄せてボールを奪う。
最後は本当に戦っていました。
これを繰り返して行くと、チームメイトにもようやく認められた様子。
二人ペアも簡単に作ります。
小さなことですが、本当に大きな進歩だと思います。
オフの時間には、市場に出かけお土産を買ったり、クルゼイロショップでユニフォームを買ったり、遊園地に連れてもらいにも行きました。
そして今年もプロ選手のトレーニング施設(toca2)に見学へ。
プロ選手のサインをもらい、写真撮影。
運よく、ミネイロンでのクルゼイロの試合を観戦することが出来ました。
4万人を超える観客がスタジアムに押しかけ、すごい熱気。
その中で見事勝利を飾ったクルゼイロ。
二人も目を輝かせて、憧れのプロ選手のプレーに見入っていました。
タイジュ
「とてもいい経験が出来ました。最初は思ったプレーが出来なかったけど、相手の足を削るくらいの気持ちで戦えば、通用する部分もありました。もっとU-14とトレーニングしたかった。日本に帰っても、クルゼイロで得たものを出せるようにしたいと思います。本当に来て良かったです!!」
カズ
「最初は、正直怖かった。あんなに体の大きい選手が向かってくるのは経験したことがありませんでした。自分の出来ない部分が改めてよく分かりました。未来のブラジル代表と一緒にトレーニングできて幸せです。また戻ってくる時があれば、成長した姿を見せたい!ブラジル人は関西人みたいでした(笑)」
クルゼイロジャポン
「この年代で、悔しい経験をすることはとても大切なことだと思います。自分が通用しない、自分の思った通り出来ない経験は、何よりも得難い特別なものです。言葉が通じない相手とコミュニケーションを取る、慣れない食事をするだけでも、子供たちにとってはストレスがかかるものです。振り返れば、それすら良い思い出になるものです。ハイレベルで安全な環境をクルゼイロは準備してくれます。育成組織本体に混ざってトレーニング出来る環境は、クラブと我々クルゼイロジャポンとの信頼関係があってこそではないでしょうか。約20日と短い留学ですが、今までのサッカー観、人生観すらガラリと変わる瞬間が訪れるかもしれません。お子さんがジャンプアップするきっかけを掴み取るかもしれません。皆さんの挑戦をお待ちしています!」